商店街の入り口に佇む、地元の暮らしに溶け込む和菓子の名店
都電荒川線(東京さくらトラム)がゆっくりと街並みを縫うように走っていき、心地よい揺れに身を任せ「梶原(かじわら)」駅へ。
電車を降りて約1分の場所にある老舗和菓子店「都電もなか本舗 菓匠 明美(あけみ)」さんにお邪魔しました。
東京の下町ならではの「人情」や「真心」と職人さんの「味へのこだわり」、そしてクスッと笑える「遊び心」が溢れたオリジナルのお菓子。 全国菓子博覧会において数々の最高賞に輝いてきた和菓子の銘店です!
風情のある店内に入ると、四季を通じて常時30種類以上という、多彩な和菓子が出迎えてくれます!
職人さんが毎朝丁寧に仕込む生菓子をはじめ、季節の彩りを映した繊細な上生菓子、香ばしい焼き菓子まで、どれも素材の良さと手仕事の温もりが真っ直ぐに伝わってくるものばかりです。
私が訪れたときも、地元の方が「今日のおやつに」とお団子や大福を買い求めに、お店の扉がひっきりなしに開いていました。
地域の人々の暮らしに寄り添い、お祝い事や日々の憩いのひとときに甘い幸せを添えてきたのだということが、その空間を包む空気感からじんわりと伝わってきます。
「1箱」ではなく「1輛」。遊び心と職人技が詰まった「都電もなか」
「明美」さんを語る上で、絶対に外すことができない看板商品が「都電もなか」です。
昭和の高度経済成長期を経て、車社会の発達とともに都内の路面電車が次々と廃止されていくなか、奇跡的に残った荒川線の姿を「和菓子として後世に残したい」という強い想いから誕生したこのお菓子。数あるこだわりの中でも特にユニークなのが、お店での数え方です。
明美では、このもなかを「1個、2個」や「1箱」ではなく、「1輛(りょう)、2輛」と呼んでいる徹底ぶり!
また、個包装のパッケージには、歴代の都電車両を描いた手書きの可愛らしいイラストが刷られており、そのバリエーションは全7種類。
さらに、10輛入りの箱を購入するとパッケージが「都電の車庫」のデザインになり、14輛以上になると箱の蓋を広げて「すごろく」として遊べる仕様になっているなど、子どもからお年寄りまで誰もが笑顔になれる趣向が凝らされています。
箱を開けて中のもなかを取り出すと、そこには愛らしい都電の車体を精巧に模した最中が! パリッとした軽やかで香ばしい皮。中のあんこは、ぎっしりと詰まり、もっちりとしています!
豊かな味わいのあんこは、厳選された北海道産の最高級小豆なのだそう。 甘さが非常に上品で口当たりが良く、重さを感じさせずにぺろりと平らげてしまいます。 さらに、もっちり食感は、白玉粉から丁寧に拵えた短冊状の求肥餅が隠されているから。
半世紀近くにわたって愛され続ける理由が真っ直ぐに伝わる格別の美味しさです。
ちなみにお店では、都電ストラップやキーホルダーといったグッズも展開されており、都電愛がビビッっと伝わってきましたよ。
季節の移ろいを頭に乗せた、愛らしい白キツネ「王子の狐」
都電もなかと並んで、その可愛らしい佇まいに心を奪われてしまうのが、王子に古くから伝わる民話(大晦日に狐たちが榎の木に集まり王子稲荷に参殿したという伝承)をモチーフにしたお菓子「王子の狐」です。
こちらは、白キツネの頭の形を模した、しっとりと上品な薯蕷(じょうよ)まんじゅう。チョコンと乗った「かんざし」が、四季の移ろいを表現しているという、なんとも粋で愛らしい仕掛け!! 今回は夏の時期に伺ったため、キツネさんの頭には「緑色の葉っぱ」が涼しげに乗っていました!
山芋(大和芋)を生地に練り込んだ薯蕷饅頭ならではの、しっとり・もっちりとした優しい質感の皮。 その中には、甘さの加減が絶妙な、なめらかなこし餡が包まれています。
皮のやさしい風味と、スーッと口の中で溶けていくこし餡が上品な甘みで、抹茶を点ててじっくりと味わいたくなる贅沢な逸品。 見た目の愛らしさだけでなく、本格的な和菓子としての確かな実力が詰まっています!
途中下車して出会う、下町の温かい物語
都電荒川線ののどかな走行音を聞きながら、どこか懐かしい商店街の風を感じて歩いた先に待っている「菓匠 明美」。
職人さんが真心と人情を込めて焼き上げるお菓子は、ただ美味しいだけでなく、手にした人、そしてそのお土産を受け取った人までを一瞬で笑顔にしてしまう温かい空気に満ちています。
店内にはイートインスペースはありませんが、各種クレジットカードやPayPay、交通系ICなどの多彩なキャッシュレス決済に対応しているため、散策の途中にスマートに買い求められるのも嬉しいポイント。
自分へのご褒美おやつに、大切な人へ贈る手土産に。 ぜひ梶原の停留場で途中下車して、この優しい暖簾をくぐってみてください。
都電もなか本舗 菓匠 明美の店舗情報
【住所】〒114-0004 東京都北区堀船3-30-12
【電話】03-3919-2354
【Instagram】https://www.instagram.com/akemi.todenmonaka/
【営業時間】10:00〜18:00
【定休日】月曜日(祝日は営業・振替休業あり)
ミワとは何者?
桜田 実和(さくらだ みわ)
<経歴>
2000年生まれ、千葉県出身。立教大学現代心理学部映像身体学科卒業。
「観た人の人生を豊かに出来る俳優」を体現すべく、
舞台や体験型演劇のキャストなど「生」の対話に軸を置いて活動中。
自身が中高時代に生活を演劇に救われた経験から、 2022-2024年まで演劇メディアAudienceにて 「広く演劇の魅力が届くように」との想いでライターを担当。
<個人的なこと> 王子エリアは劇場や稽古場があることから、大学時代から通っていました。魅力溢れる街を、縁あってこうしてよりディープに知ることが出来ることがとても嬉しいです!










